優良中小型50社に学ぶ資本政策(4)

〈背中を押される前に資本構成の点検を〉

事業の成熟化に伴ってキャッシュフローが安定化し、M&Aなど臨時の案件を除き大型投資が一巡した場合、レバレッジを上げるなど資本構成を見直すことも選択肢となる。負債の利用で加重平均資本コストが低下すれば、一般的には企業価値を高めることができる。

資本構成に関して具体的な方針を開示している会社は50社の半数以下に留まった。財務健全性や信用力の目標(数値の開示がない場合も含む)は、自己資本比率が14社、D/Eレシオが4社、格付けが4社、開示なしが28社となっている。指数の銘柄選定の性格上、高いROEとその結果としての強固な財務的基盤を備えた会社が多く、50社中36社がネットキャッシュの状態にある。レバレッジを効かせずとも、概して高いROE(36社平均で14%)を実現しており、負債を導入して更に資本効率を引上げようとする動きはあまり見られなかった。

一方で、成長が鈍化し、ROEが資本コストに近づく(割り込む)と、株主から株主還元や資本構成の見直しを求める声が強まるのは想像に難くない。 外部から指摘されて資本構成を見直すのではなく、事業戦略と整合的なバランスシートのあり方について、日常から点検しておくことが望ましい。

東急建設(1720)は、2030年度までの長期経営計画において、国内土木・建築・建築リニューアル事業など既存事業の深掘りと国際、不動産など戦略分野の強化で競争優位を構築し、10%のROEを目指すとしている。財務面では、「財務基盤の充実」から考え方を一新し、資本効率の向上(最適な資本構成の追求)へ舵を切る方針。D/Eレシオの目標は0.5以下(20年度0.26)、自己資本比率は40%~45%(同45.4%)としている。

タカラトミー(7867)は23年度までにROEを12%超(20年度7.9%)に引上げる計画であり、財務面では、「厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上を図る」としていた。ROE目標を達成した21年度もネットキャッシュの状態は続いており(有利子負債はさらに減少)、レバレッジの活用は今後に持ち越された模様である。